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FELLOW ORCHESTRA
フェローオーケストラ 第6回チャリティコンサート

[ 曲目解説 ]

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ジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin、1898-1937)/​
パリのアメリカ人

交響詩「パリのアメリカ人」は「ラプソディー・イン・ブルー」と並ぶガーシュウィンの代表曲です。通常のオーケストラの編成に加え、サックスのように近代的な楽器も加わっているのが特徴です。

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ガーシュウィンってどんな人?

ガーシュウィンは1898年9月26日、ニューヨークのブルックリンに4人兄弟の次男として生まれました。ロシアからの移民であった両親は長男のアイラに音楽を学ばせようとピアノを買いましたが、音楽の才能を示したのはガーシュウィンでした。
その後、商業学校を中退したガーシュウィンは、楽譜の出版社に勤めながらプロのピアニスト兼作曲家として活動し、ミュージカルの作曲家として成功を収めました。1920年代以降は兄のアイラが作詞を担当し、兄弟で多くのポピュラーソングを発表しました。また、独学でオーケストレーションを学び、ジャズとクラシックを融合させたシンフォニック・ジャズという分野の名曲も多く生み出したのでした。

パリのアメリカ人=ガーシュウィン

1928年、ニューヨーク・フィルハーモニックの依頼を受け、「パリのアメリカ人」は発表されました。同年春にヨーロッパ旅行に出掛けたガーシュウィンが立ち寄ったパリの街の様子を描いた曲となっています。曲のタイトル「パリのアメリカ人」はパリを旅するガーシュウィンを指しているのです。音楽で表現した旅の記録ともいえるでしょう! 人々が足取り軽くパリの街並みを歩く姿が思い浮かび、行き交うタクシーの活気が伝わってきます。

さて、ヨーロッパ旅行の大きな目的は、観光ではなく管弦楽の基礎を学ぶことでした。今まで独学で勉強をしてきたガーシュウィンは、尊敬していた作曲家たちに弟子入りしようとしました。しかし、ラヴェル、ストラヴィンスキーに「あなたは既に音楽家として成功しているので自分たちから学ぶことはない」と弟子入りを断られてしまいます。華やかな曲の中で聞こえる寂しさを感じさせるフレーズは、ガーシュウィンの落ち込みぶりを表しているのかもしれません。その後、ガーシュウィンがどのように自力でこの曲を完成させたのか、ぜひ、パリの街を想像しながら演奏をお楽しみください!

オーケストラとしては珍しい楽器

オーケストラで演奏される楽器というと何が思い浮かぶでしょうか。オーケストラではさまざまな弦楽器・管楽器・打楽器が指揮者のもと息を合わせて1つの曲を演奏しています。さて、「パリのアメリカ人」には一般的なオーケストラの曲では登場しない珍しい楽器が2つ使われています。それはサックスとタクシーのクラクションです。特に、タクシーのクラクションが使われる曲はこの曲しか存在しないともいわれています。4種類のクラクションの音が鳴りますので、耳をすませて聞き分けに挑戦してみてください!

サックスも今回の演奏会ではこの曲のみの登場となります。どんな音色を響かせているのか、ぜひ舞台にご注目ください。

思わず、映像化したくなる曲?

ガーシュウィンが訪れたパリの様子を描いた「パリのアメリカ人」ですが、特定の物語を表現しているわけではありません。ただ、臨場感あふれる音楽を聴いていると物語を作りたくなるものなのでしょう! 「パリのアメリカ人」は、1951年にミュージカル映画が制作され、第24回アカデミー賞で作品賞、作曲賞を含む6部門を受賞しました。パリを舞台にアメリカ人の画家とフランス人女性の恋が描かれ、劇中のすべての音楽は、ガーシュウィンが作曲、兄のアイラが作詞したものが使われました。

その他にも同じストーリーで2005年にはバレエ、2014年にはミュージカルが上演。2019年からは日本の劇団四季でもミュージカルが上演されました。本日の演奏を聴いて「パリのアメリカ人」を気に入った方は、映像化・舞台化された作品も観てみると面白いかもしれません。

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